先週の金曜日に、新しいタイプの商標の審査に関する研修に参加しました。普段は主に特許をやっているのですが、商標のお話を聞くと新鮮な感じがします。備忘録として書き留めておきます。

研修では、動き商標、位置の商標、色彩のみからなる商標、音商標に関する説明をしていただきました。全て書くと長くなりますので、個人的に興味がある音商標の内容だけ記載します。

1.音からなる商標の願書への記載は、文字若しくは五線譜又はこれらの組み合わせを用いて商標登録を受けようとする音を特定するために必要な事項を記載することによりしなければなりません(商標法施工規則第4条の5)。五線譜の下に歌詞を記載するのも音からなる商標に該当します。

2.音商標について商標登録を受けようとするときは、音符、休符、音部記号(ト音記号、ヘ音記号、ハ音記号などです。)、テンポ、拍子記号、歌詞その他の商標登録を受けようとする音を特定するために必要な事項(例えば D major のことでしょうかね。)を記載します。

所感

テンポを、AndanteやAllegroで表現してよいかと思いますが、それらを具体的なテンポに補正したら要旨変更になるのでしょうかね。

 

3.願書に記載した商標に記載がない事項(演奏楽器や声域等の音色等。ただし、歌詞等の言語的要素を除く。)は、物件及び商標の詳細な説明(商標登録を受けようとする商標を特定するために必要な場合に限る。)により特定するものとします。

所感

オーケストラでは、一般に、金管楽器がffで吹いている時に木管楽器の音は搔き消されて終います。木管楽器がいるといないとでは音色に差がでますが、判別することが難しい楽器もあるかと思います。このような場合であってもすべての演奏楽器を特定しなければならないのでしょうか。また、複数の楽器の演奏で音商標を出願する場合には、スコアを記載しなければならないのでしょうね。

 

4.音声ファイルを願書に添付しますが、音声ファイルと楽譜が異なる場合、音声ファイルを楽譜に合うように補正するのは要旨変更にならないのですが、楽譜を音声ファイルに合うように補正するのは要旨変更に該当します。

所感

そりゃあそうなのでしょうね。

他にも、マドプロで日本に入ってきた音商標において、動物の鳴き声が外国と日本で異なる場合にはどうするのか、音商標の場合の3条2項の立証方法、など、音商標に特有の種々の疑問点をご質問されている先生方がいらっしゃいました。興味深く説明を聞くことができたので、参加してよかったと思いました。