以前の投稿にも記載しましたように、特許庁は物の発明から製法の発明への訂正については言及していないようでした。

しかし、物の発明から製法の発明への訂正が認められました。詳細はこちらです。訂正審判の審決も添付してあります。

訂正審判の判断は、要するに、

1.訂正の目的

物の発明を製法の発明に訂正する目的は、最高裁の判事事項を踏まえると、「発明が明確であること」という要件を満たすための訂正なので、「明瞭でない記載の釈明」に該当する(126条第1項ただし書第3号)。

2.新規事項の追加

願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内での訂正である(126条第5項)。

3.訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否か

ア.発明が解決しようとする課題とその解決手段について

訂正前と訂正後では、発明の課題に変更がなく、課題解決手段も実質的な変更ではないので、訂正前の発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更するものではない(126条第6項)。

イ.第三者の不測の不利益

126条第6項は、訂正前の発明の「実施」に該当しないとされた行為が訂正後の発明の「実施」に該当する行為となる場合、第三者にとって不足の不利益が生じるおそれがあるため、そうした事態が生じないことを担保したものである。

ここで、2条第3項第1号で規定されている「物の発明」の実施とは、「①(その物の生産、使用)・・・をする行為」である。2条3項3号で規定する「物を生産する方法」の実施とは、「(②その方法の使用をする行為)のほか、(③その方法により生産した物の使用)・・・をする行為」である。すなわち、「物を生産する方法」の実施における「その方法の使用をする行為」(2条3項2号)とは、「その方法の使用により生産される物の生産をする行為」と解釈されるため、「物の発明」の実施における「その物の生産」をする行為に該当する。

(上記解釈は、②の下線部を③の下線部に代入し、且つ2条第3項第1号で規定されるように「物の発明」の実施には上記①の下線部のように「使用」と「生産」が含まれることから「使用」を「生産」に置き換えた、ということになるのでしょうか。)

 

所感

3.イ.において、2条3項2号の実施から2条3号3号の実施を導出したのは、以前の投稿の最後記載しましたが、用途クレームが物クレームよりも広く解釈される判例によるものなのでしょうか。(現時点ではこの判例を探し出せていませんので、時間を見つけて探そうと思います。)

また、弁理士会からのメールには、無効審判や異議の際の訂正請求にもこの考え方が適用されると考えられる、と記載されています。確かにそうかもしれません。ただ、こちらに記載されていますが、「一律に訂正が認められるものではなく、事件ごとに個別に判断されます」とも記載されていることから、訂正の要件を満たすことがわかってもらえるように、きちんと主張する必要がありますね。

個人的には、無効や異議で同様の訂正が認められるかどうか、気になるところではあります。