先日、意匠の研修に参加しました。
意匠の実務に関する研修に初めて参加しましたが、大変役に立ちました!
備忘録として記載します。
1.近年の傾向
特許と同様に出願件数は減少傾向にあります。スマホ関連の出願件数が多いそうです。
意匠を活用する理由は、他社の模倣品・類似品対策、他社権利への侵害回避、自社の製品ブランド力強化、特許権の補完、ライセンシングなど、です。
これらは、権利化による他社の抑制・牽制、顧客の安心・利用時の保証、企業が提供するサービスのアピール、海外展開も見据えた出願、を目的とするためかと思います。
2.意匠登録の例
機能的ポイント部分を部分意匠で抑える例がいくつかありました。
同一物品の部分意匠に関して、部分の範囲を少しずつ広くした部分意匠が登録されていました。部分意匠だけ抑えればよいとも思われますが、そうでもないようです。類似範囲が変わりますので、そのような出願も必要になることがあるかもしれませんね。
機能的ポイント部分を抑えた出願に関しては5条3号が気になるところですが、なんとかなるそうです。私としては、チョークコイルのボビンの部分意匠が気になってしまいました。特許との関係で、意匠は重要になるかと思います。
機能が模様になるような場合には、特許だけでは模様だけ付した物品に対して権利が及びませんので、意匠の保護も必要になります。そのようなことがあることは知っていましたが、実例を示されると納得できますね!
また、意匠は○条○項で無効になることがほとんどないそうです!権利行使に有利ですね!!
画像意匠では事後記録画像の登録が可能になりました。ただ、物品の機能を果たすために必要な表示画像(2条1項)、または物品の機能を発揮できる状態にするための操作画像(2条2項)であることが要件として課されます。このため、壁紙やゲームのコンテンツ画像が登録されるわけではありません。
3.ハーグ出願
ハーグ出願ではロカルノ分類に応じて複数の意匠を一出願できるそうです。
国際出願から6月後に国際公表されます。この国際公表の時期は、優先権証明書の提出期限(国際公表から3月以内)や新規性喪失の例外の適用(適用を受ける旨の書面:国際公表から30日以内、証明書:3月以内)の起算日になります。ただ、国際公表の時期は通知されませんので、上記2つの手続の期間を徒過した例があるそうです。
国際公表は繰り延べができますが、繰り延べを認めていない締約国(シンガポール、米国など)が指定国に含まれると、国際公表の繰り延べはされないそうです。また、公表されると拒絶の情報も公開され、手数料の納付により国際登録簿の記録を取得することができます。
審査は、1回の拒絶の通報ですべての理由を通報するそうです。日本では小出しにする場合があるそうです。
関連意匠は本意匠の国際公表時まで出願できますので、繰り延べにより最大30月の猶予が認められます。ただ、国際公表後に審査を始めるので、登録も遅れるそうです。
願書には、原則視覚的な特徴についてのみ記載することができ、機能的特徴などの技術的な説明を記載することは原則できません。ただ、機能が書いてある出願もあるそうです。