先週、商標の実務者研修を少しだけ聴講しました。会場に遅れて到着してしまいましたが、たまたま4条の審査基準の説明中でしたので、そこだけ聞きました。

PPAPの先願出願人である方に関しては以前から話題に挙がっており、小職も半年くらい前に投稿しました。

この投稿時には、4条1項7号の可能性は少ないかなあと思っていました。ただ、商標の使用者が出願していないのに乗じて出願した場合に、4条1項7号の適用がある例はいくつかあると思います。今回の研修では、他人が使用していた商標を横取りした場合に本号に該当する審決が紹介されていました。

以下に備忘録と所感を記載します。

1.4条1項7号

この条文に該当する1例としては、指定商品(役務)について使用することが社会公共の利益や一般的な道徳観念に反する商標、が挙げられます。この例として、「激馬かなぎカレー」に関する審決例が紹介されました。

この事件は、地域活性化事業の遂行を阻止し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図でしたものであり、公序良俗に反すると判断されました。この審決の要約は以下のとおりです。

「地域住民及び商店のために活動する申立人が、国の経費支出を受け、地域活性化のために行う本件事業の一環として、特産の馬肉を使用したカレーを開発し、その名称「激馬かなぎカレー」を考案したにもかかわらず、原告が、申立人の活動に参加したに止まるのに、申立人において上記名称に係る商標登録出願をしていないのに乗じて、本件出願に及んだものと評価せざるを得ない・・・だとすると、該事業の遂行を阻止し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、「激馬かなぎカレー」の名称による利益の独占を図る意図でしたものであって、剽窃的なものといわなければならない。」

国の経費支出を受けた場合に公共的利益を損なう結果に至るのですから、PPAPはそれに該当しないかなあと思います。他に、ぴったりな審決または判例が過去にあるかと思いますので、見つけましたらご報告いたします。

ただ、一般的な道徳観念という観点では、7号に該当すると思います。また、先願のPPAPが出願時および査定時に著名であると判断される場合には、4条1項15号の可能性があると思います。PPAPは、2016年10月2日の時点で著名であり、かつその6か月後も著名かと思いますので、15号に該当すると思います。個人的には、商標法制定の趣旨の拒絶理由が通知される可能性もあるかと思います。

 

2.4条1項11号

この条文で気になっていた点は、引例が20条3項の追納期間(6か月)または21条1項の追完期間(6か月)にある場合の取扱いでした。従来(この日の前日に問い合わせました。)は、追納期間経過後、4か月程度の間に追完されない場合に消滅したものとみなされるようです。ただ、ここ数年で21条1項の追完期間に追完をして更新されたものは1件だけのようです。今後、追納期間経過後に追完の意思がない場合には、もう少し早く権利が消滅することになるそうです。

引例が上記期間に差し掛かっている場合には、意見書で審査を待ってもらうようにお願いするとともに、権利が回復した場合を考慮して、反論もしておいた方がよいそうです(当たり前ですね。)。