今年の3月までは、同一出願人が同一商標に対して同一商品・役務を指定した場合、商標法制定の趣旨により拒絶されていました。
具体的には、以下の(1)~(3)ように判断されていました。
(1)本願に係る指定商品又は指定役務と引用した先願又は既登録商標に係る指定商品又は指定役務とがすべて同一である場合。
本願の指定商品・役務 引用の指定商品・役務
A,B,C A,B,C
A,b,c A,b,c
(2)本願に係る指定商品又は指定役務の一部が引用した先願又は既登録商標に係る指定商品又は指定役務に含まれている場合。
本願の指定商品・役務 引用の指定商品・役務
A,B B
a,b b
A A,B
a a,b
A,B B,C
a,b b,c
下記(3)の場合には、この拒絶理由の対象ではありませんでした。
本願の指定商品・役務 引用の指定商品・役務
A a
a A
今年の4月1日から、少し変わりました。拒絶理由は3条になりました。拒絶理由は15条で限定列挙されているはずなので、わかりやすい規定になったかと思います。
具体的には、上記(1)は変わりませんが、(2)が場合分けされています。(2-1)は3条による拒絶の対象ですが、(2-2)は拒絶の対象ではなくなりました。
(2-1)本願に係る指定商品又は指定役務が引用した先願又は既登録商標に係る指定商品又は指定役務に含まれている場合(概念的に含まれている場合は除く)。
本願の指定商品・役務 引用の指定商品・役務
A,B A,B,C
b,c A,b,c
(2-2)本願に係る指定商品又は指定役務のうちの一部が引用した先願又は既登録商標に係る指定商品又は指定役務と同一である場合、引用した先願又は既登録商標に係る指定商品又は指定役務が包括表示であり、本願に係る指定商品又は指定役務がそれに含まれる個別表示の場合には、「同一の指定商品又は指定役務」とは判断しない。
本願の指定商品・役務 引用の指定商品・役務
A,B B,C
a,b b,c
a A
A a
A,B,C A,B
a,b b
(2-2)は、従前の(2)の一部と(3)を組み合わせたようなものになっています。
詳細は、こちらとこちら(審査便覧41.01)をご覧ください。
たまたま調査対象になったものが(2-2)の状況でしたが、少なくとも上記無効理由が存在しないことを確認できました。
無事解決しました。