以前の投稿では、拒絶理由通知の応答期間を延長する手続きが緩和されたことを記載しましたが、今回は手続期間と延長期間についての備忘録を記載します。要するに、特許法第3条の復習です。

特許の拒絶理由通知の応答期間を延長する場合、延長請求の提出時期によって印紙代が以下のように異なります。

1.延長前の応答期間内での延長を請求した場合、印紙代は2,100円となります。ちなみに、商標も2,100円となります。

2.延長前の応答期間経過後での延長を請求した場合、印紙代は51,000円となります。ちなみに、商標は4,200円となります。

ここで、延長請求をしない場合、延長前の応答期間の末日が土曜日ですと、意見書および補正書を提出することができる期間の末日は、休み明けの月曜日となります(特許法第3条第2項)。

一方、延長請求をした場合の2か月の起算日がいつになるかというと、特許法第3条第2項は適用されませんので、日曜日ということになります。そうすると、休み明けの月曜日はすでに延長期間に突入していますので、月曜日に延長請求をすると印紙代が51,000円になるかもしれない、と思ってしまうかもしれません。

しかし、延長請求の提出は特許法第3条第2項の「手続」に該当します。延長請求の提出が月曜日でしたら特許法第3条第2項が適用されますので、印紙代は2,100円となります。

つまり、上記の設定では、月曜日に延長請求をした場合、延長期間に突入しているにもかかわらず、延長期間前に手続きをしたことになる、ということです。

 

これとは別に、延長期間の起算日は特許法第3条第2項が適用されません。このため、延長期間内に手続きをすることができる期間の末日が祝日の場合も特許法第3条第2項が適用されないかもしれない、と思ってしまうかもしれません。

ここで、延長期間は特許法第3条第2項が適用されませんので延長されることはありません。延長期間は応当日(祝日)の前日に満了します(特許法第3条第1項第2項)。延長期間のぎりぎりで手続きを行う場合、延長期間の末日がいつになるのかが重要になりますが、延長期間の末日は、特許法第3条第2項により祝日後の営業日となります。

 

 

特許法第3条第1項と特許法第3条第2項の違いを備忘録として記載しました。

特許法第3条第2項は「手続き」の末日を規定したものですので、特許法第3条第1項で規定する期間の算出とは別に考える必要があります。