昨年は何回か研修に参加しました。参加することができなかった研修は資料だけ送ってもらいました。
また、ここ最近、外国案件のご依頼が増えてきています。
行けなかった研修の資料は読んだだけでは記憶に残りにくいので、備忘録としてまとめてみました。

・課題解決アプローチ
EPO独自のものであり、進歩性を議論するのに役立つ。
このアプローチは6ステップを踏むと考えることができる。
1.「最近接先行技術」の決定
2.「顕著な特徴」の決定
3.「技術的効果」の決定
4.解決すべき「客観的な技術的課題」の決定
5.解決法の実証
6.最近接先行技術および客観的な技術的課題から出発して、クレームに記載の発明が当業者にとって自明か否かを検討
→結局、発明の認定をきちんとした後、なぜ本願発明が引用発明と異なると自明ではないのか、を説明することになると思います。
日本と大きな差はないかもしれません。

1.「最近接先行技術」の決定
最近接先行技術は、一般的に、クレームに記載の発明と最も多い共通する特徴を有し、本願発明と同じ技術的効果を目指しているか、同じ課題を有する。
発明を適用する技術分野を変えることは一般的に自明ではない。

2.「顕著な特徴」の決定
顕著な特徴は、1つ新規な特徴であり得る。
あるいは、個々には公知である特徴の特定の組み合わせであり得る。
本願発明は、組み合わせることによって有利な効果を奏する具体的な条件を定義する。

3.「技術的効果」の決定
特徴の重要性や有用性が一般的に記載されているとよい。
データは有用性を説明するのに有効な手段である。
Data demonstrating the technical effect can be provided after the filing date.
技術的効果を立証するデータは、出願後にも提出することができる。
The EPO wants to see an advantage over the closest prior art specifically caused by the distinguishing feature.
EPOは、最近接先行技術に対する、特に顕著な特徴による有用性を確認したい。
If there is no advantage or particular effect of the distinguishing feature, the EPO considers the invention an “alternative”
顕著な特徴の有用性または特別な効果がない場合、EPOは発明は「代替(発明)」であると判断する。
However it is not impossible to succeed, even if the invention is an “alternative”
しかし、発明が代替であるとしても、進歩性が認められる可能性がないわけではない。

Make clear how the “advantage” is linked to the “distinguishing feature”.
「有用性」がどのように「顕著な特徴」と結びつくか明確にすること
Include discussion of the effects of many different features of the invention.
発明の多くの異なる特徴の効果を記載すること

4.解決すべき「客観的な技術的課題」の決定
客観的な技術的課題とは技術的効果の逆である。客観的な技術的課題とは、その効果を奏する何かを提供することである。
発明のいかなるヒントも避けるべきである。有料発明が実際より自明に見える。
→課題から手段の書き方に注意が必要ということですね。

5.解決法の実証
Everything claimed needs to solve the objective technical problem.
クレームされたすべては客観的な技術的課題を解決する必要がある。

6.最近接先行技術および客観的な技術的課題から出発して、クレームに記載の発明が当業者にとって自明か否かを検討
→技術思想の相違点を主張することになると思います。